詩
8年ぶりに彼女に会った。 なんて話そうか、あんなに考えてきたのに、彼女を目の前にすると真っ白になった。 穏やかな顔。はっきりと残る高校生のときの面影。 そんなはずないのに。彼女が、こんな顔できるないのに。もう僕には昔の記憶を辿ることしかできな…
「休みの日なにしてんの?」 よく聞かれる。 「本読んだり、映画観たり、かな。たまに友だちとも飲んだりするけど。」 「えーーー、なにそれー。」 うるせえ。 なんだ、そんなに休みの日は誰かと遊んでなきゃいけないのか。そんなにキラキラした写真をインス…
「みんなの夢はなんですか??」 昔からこういうことを語る大人はたくさんいた。 「いいよなー若いって。なんでもできるじゃん。」 こういう反応が困ることを言うおっさんもいた。 今僕は27歳になった。あの時の大人は、あの時のおっさんは、まだ同じ言葉を…
日曜日の朝、知ってしまった。おれは死ぬ。 いや哲学的な、人類皆死ぬ的なことを言ってるわけじゃない。近々、それも半年以内に。 重い病魔に侵されてるわけじゃない。そんな悲劇なヒーローにもなれない。 でも見てしまったんだ。 暴走する車に轢かれる自分…
「せんせぇー、中間の範囲ってどこまでだっけー?」 私の授業の最後のほうは、だいたいクラスは賑やかだ。賑やかというより、騒がしいが正しいか。 「一回言ったけどなー、58ページね。」 いっつも家庭科の授業は早く終わって、残りの時間は生徒の雑談タイム…
僕は35歳になった。 家族も、恋人もいない。 頭も禿げた。 年収は人並みにもらって、福利厚生は良い。 そんなありきたりなおじさんになった。 今の僕を見て、君はどう思うだろうか。 東京に来て13年。 就職と同時に上京して、どんな女遊びをしてやろうかって…